本記事では、Minimum RSSIとは何かと、UniFi Networkアプリケーションで設定する方法について説明します。設定を誤るとネットワークのパフォーマンスが低下する恐れがあるため、基本的なRF理論に精通している場合のみ使用を推奨します。


最小RSSIのしくみ

受信信号強度表示(RSSI:Received Signal Strength Indication)は、APから見た無線クライアントの知覚信号レベルを示す値です。最小RSSI値は、各APごとに個別に設定され、クライアントの接続を維持するために必要な最小信号レベルを示します。

隣接する2つのAP間でローミングするクライアントをサポートするのがその主な目的です。デバイスが弱い信号強度で最初のAPに接続されたままになるのを防ぎ、より最適な新しいAPにローミングできるようにします。信号が設定された最小RSSI値を下回ると、最初のAPはクライアントを切断し、新しいAPに再度接続できるようにします。

APが(認証解除パケットを送信して)クライアントを切断すると、クライアントは自分自身でより優れた接続先となるAPを検索できるようになります。特に、範囲内にあるAPがそのAPだけである場合などには、同じAPに再接続することもできます。信号強度がまだ最小RSSIを満たしていないことから、再起動します。このため、チューニングが不適切である場合、ネットワークが不安定になることがあります。こういった理由から、唯一の最適な選択はないことを認識して、接続上の問題が生じないように、慎重に構成をテストすることが重要です。


最小RSSIの決定方法と設定方法

最小RSSI は、UniFiデバイス(UniFi Devices) でAPを選択し、選択したデバイスのサイドパネルから 設定(Settings) に移動することで、UniFi Networkアプリケーション内から有効にできます。一度有効にした後は、2Gと5Gの無線に対して個別に手動で設定することができます。

クライアントデバイス(Client Devices) タブでデバイスをクリックすれば、現在の無線クライアントの信号強度を確認できます。信号は、dbm(ミリワットあたりのデシベル)単位で測定されます。電力は1mW以下であるため、これは負の数になります。

  • dbm = 10 log P1/1mW
  • 0 dBm = 1 mW
  • -10 dBm = 0.1 mW
  • -20 dBm = 0.01 mWなど

0に近い値は信号品質が高いことを示し、負の値が大きいほど信号品質が低いことを示します。各APに適切な値は粒度細かく選択する必要があります。すべてに対して単一の値を使わないでください。


その他の考慮事項

AP側のクライアントのRSSIには、距離、建材、物体、干渉など、さまざまな要因が影響する可能性があります。このため、推奨事項をお伝えするのも、そう簡単ではありません。標準的な家庭やオフィスの構成では、-80dBmが開始点になるでしょう。しかしながら、環境に多く左右されるため、常に注意を払う必要があります。

適切な最小RSSI値を決定するための最良の方法は、実地調査をおこなうことです。この調査では、各種無線クライアントの信号強度を、さまざまな距離でテストします。各デバイスによってアンテナ構成は異なるため、同じ地域でも性能は異なります。SSIDに接続して、それをそのAPに固有のものにして(そのSSIDの上書き)、必要なサービスエリアの外縁と思われるところまでローミングさせます。クライアントのRSSIに印を入れ、さらに2、3ポイント計測します。収集するデータが多いほど、使用するRSSI最小値についてもよりよく理解できます。