ワイヤレスクライアントで最適な接続を実現するためには、簡単な原則がいくつかあります。

  1. すべてのファームウェアとソフトウェアが最新であることを確認します。自動アップデートの管理については、UniFiアップデートを参照してください。最新のリリースノートについては、community.ui.com/releasesを参照してください。
  2. ゲートウェイ(DHCPサーバーを含む)、AP、スイッチなどを含めたUbiquiti装置すべてを活用して、最大限の互換性を確保します。
  3. 新しいWiFi SSIDを作成するときには、デフォルトの設定を使用します。これらの設定は、絶え間なく実施される品質テストに裏付けされた、最大限の互換性を実現するための設定です。
  4. すべてのクライアントデバイスで十分な信号強度を維持します。最低でも -65dBm を推奨します。APのTXパワー(TX Power)を向上させたり、クライアントデバイスをAPに近づけて配置したり、設置するAPを増やしてカバーエリアを拡大する必要がある場合があります。

クライアントが切断される場合は、お客様の設定、クライアントの仕様、利用状況やRF環境の混雑状態に関連した干渉によって、接続性が影響を受けることがあるので注意してください。

以下のアドバイスを検討してみてください。

互換性を向上させるため、保護された管理フレーム(PMF:Protected Management Frames)を無効にする

互換性を最大限高めるために、PMFを無効にすることをお勧めします。特にレガシーデバイスの多くはPMFとの互換性がないため、接続に問題が生じることがあります。

ベーシックなWPA2セキュリティモードを使用する

WPA3はPMFを必要とするため、前述の通り、クライアントに接続する際に問題が生じる可能性があります。

なお、非エンタープライズセキュリティモードでテストすることをお勧めします。エンタープライズモードでは、クライアントの認証にRADIUSサーバーを使用します。このため、クライアントとサーバー間の明確なコミュニケーションを確認したり、サーバーが適切に設定されているかどうかを検証することが、さらに複雑になります。

レガシーデバイスとの互換性を高めるために、最小データレートを下げる

2.4 GHzチャネルのデフォルトの最小データレートは、互換性を最大限に高めるために1 Mbpsに設定されています。これは、一部のクライアント、特にレガシーデバイス(802.11b)で、接続するにあたり低いデータレートが必要とされるからです。この値を変更した後に、レガシークライアントのみに問題が発生する場合は、1 Mbpsに戻すことをお勧めします。

DTIM間隔を適切に設定する

DTIM間隔(DTIM Period)はWiFi SSIDの設定で、クライアントが「ウェイクアップ」するタイミングを示しています。間隔の数値が高すぎると、デバイスが切断される可能性があります。以下を推奨します:

  • 2.4 GHz = 1
  • 5 GHz = 3

重複しない、低干渉のチャネルを選ぶ

混雑が最も少なく、重複しないチャネルを利用するために、夜間にチャンネルを最適化(Nightly Channel Optimization) を有効にすることをお勧めします。夜間スキャン中も、ネットワークは引き続き動作します。

無線クライアントは、通信するにあたり共有空域を使用します。これは、デバイスがネットワークに接続されていない場合でも、そのエリアのすべてのデバイスに当てはまります(例:隣人が多くのIoTデバイスを持っている場合)。このため、高密度なエリアに配置すると、速度や接続上の問題が発生する可能性があります。

手動でチャネルを割り当てる場合は、留意すべきルールがいくつかあります。

  1. 2.4 GHzを使用しなければならない場合、チャネル1、6、11のみを使用してください。これらのチャネルは唯一の非重複チャネルであるため、接続性を最適化することができます。
  2. 近隣のAPには、異なるチャネルを使用します。APが3台ある場合、それぞれを2.4 GHz帯のチャネル1、6、11に設定できます。このコンセプトは5 GHzにも当てはまります。
  3. UniFi Netowrkアプリケーションで RFスキャン を実行し、干渉が最も少ないチャネルを特定することができます。夜間にチャンネルを最適化(Nightly Channel Optimization)とは異なり、このスキャンでは進行中にクライアントの接続が中断されることがあります。

チャネル幅を小さくする

UniFi Networkは以下のチャネル幅をサポートします:

  • 2.4 GHz:20 MHz(デフォルト)/ 40 MHz
  • 5 GHz:20 MHz / 40 MHz(デフォルト)/ 80 MHz / 160 MHz

チャネル幅が大きいと通信速度も速くなりますが、干渉が多くなり、通信範囲も狭くなります。高密度でのデプロイメントや利用率が高い場合は、チャネル幅を小さくすることをお勧めします。

バンドステアリングで互換性のあるクライアントを5 GHzに移動する

2.4 GHz帯は、一般的に5 GHz帯よりも混雑しやすいと言われています。この混雑状態により、パケットが落ちたりやデバイスが切断されることがあります。すべての互換性のあるクライアントを5 GHz帯に優先的に移動させるために、WiFi SSID設定で バンドステアリング(Band Steering) を有効にすることをお勧めします。

ネットワークの混雑を緩和するために、最小データレートを上げる

前述の通り、クライアントによっては、互換性を最大限に高めるために 最小データレート(Minimum Data Rate) を下げる必要があります。しかしながら、混雑したRF環境に高密度でデプロイメントされている場合、増やした方が有利な場合もあります。

このレートを上げることで、より効率的に通信時間を利用できるようになり、クライアントの接続問題やパケットが落ちる問題を解決できる可能性があります。間違った調整をするとクライアントの接続性に悪影響を及ぼす可能性があるため、このレートを変更する際には注意してください

マルチキャストとブロードキャスト制御を有効にして、ネットワークの混雑を緩和する

マルチキャストやブロードキャストのトラフィックにより使用率は大幅に増加しますが、混雑した環境では干渉を引き起こす可能性があります。マルチキャストとブロードキャストの制御(Multicast and Broadcast Control) はWiFi SSID設定であり、すべてのマルチキャストおよびブロードキャストトラフィックをブロックすることで、混雑を大幅に軽減します。

マルチキャストまたはブロードキャストトラフィックを必要とするデバイスについては、例外を追加する必要があります。例えば、ゲートウェイやDHCPサーバーを例外として追加しなかった場合、クライアントがIPアドレスを取得できなくなり、ネットワークに接続できなくなります。

注記:これにより、ChromecastやAirPlayの利用も抑制されます。詳細については、ChromecastとAirPlayのベストプラクティスを参照してください。

TXパワー(TX Power)を低減してネットワーク混雑を緩和する

クライアントの信号強度を最大限に高めるために、TXパワー(TX Power)を 高(High) または 自動(Auto) に設定することをお勧めします。ただし、信号強度を下げてもフルカバレッジを維持できる場合は、干渉を軽減できる可能性があります。

デザインセンターまたはWiFimanモバイルアプリ(iOS / Android)の信号マッパー(Signal Mapper)を使用して、WiFiカバレージのニーズを評価してください。

メッシュされたネットワークの使用を最小限にする

可能であれば、APをメッシュ化するのではなく、有線接続することをお勧めします。詳細については、最適なワイヤレスメッシュネットワークにするための検討事項を参照してください。

DFSチャネルを避ける

DFS(Dynamic Frequency Selection)は、通常はレーダー、軍事、気象、衛星通信などのために確保されている5 GHz帯のチャネルで構成されています。これらのチャネルは可用性が高く、干渉も少ないですが、レーダーイベントが検出されると無線クライアントは切断されます。これは国によって異なるコンプライアンス要件であり、多くの場合、1分から10分までになっています。これらのチャネルは、これらの外部レーダー事象に遭遇しない地域でのみ推奨されます。

最小RSSIを無効にする

最小RSSI(Minimum RSSI)は、信号強度のしきい値を設定します。この値以下になったデバイスはすべて、自動的にネットワークから切断されます。この設定の目的は、APが密集している環境下でのローミングを容易にすることにあります。ただし、設定に誤りがあると、クライアントが不安定になることがあります。

サポート要求の迅速化

サポートにご連絡いただく前に、以下の情報を収集/確認されることを推奨します。これらの情報を要求に含めていただくと、迅速なサポートをご提供できます。

  • その問題は、すべてのクライアントに影響しているのか、それとも特定のクライアントだけなのか?影響を受けているデバイスのメーカーとモデル?
  • その問題は、すべてのAPに影響しているのか、それとも特定のAPだけなのか?APのモデルとファームウェアのバージョン最新のバージョンについてはcommunity.ui.com/releasesを参照してください。
  • 接続の確立、または接続の維持のどちらに関係した問題なのか?
  • 同時接続される無線クライアントの最大数は何台ですか?
  • APを再起動すると、接続性が改善されるかどうか?
  • 問題は、APファームウェアまたはUniFi Networkのアップデート後に発生したのか?
  • 問題はいつ(頻繁、ランダム、または特定の時間帯など)、どこで(特定の場所、APから特定の距離など)発生するのか?

上記の情報に加えて、問題が発生した後に生成された該当するサポートログも提供いただくと役立ちます。ログの入手方法:

  1. Netowrkアプリケーションの システム(System) 設定で SyslogSyslog & Netconsole を有効にします。
    • syslog.png
  2. 問題が発生したら、該当するサポートファイルをダウンロードします。UniFi OSコンソールを使用しているユーザーは、UniFi OS設定(拡張子*.tgz)からログを取得できます。Netowrkアプリケーションのセルフホストされたコピーをダウンロードしたユーザーは、Netowrkアプリケーション設定(拡張子*.supp)からサポートファイルを取得することができます。詳細はこちらをご覧ください。
  3. 問題が発生しているクライアントのMACアドレスと、この問題が発生したタイムスタンプを提供してください。 これらの情報に基づいて、提供されたファイルから関連情報を特定することができます。